介護裁判新聞4月号 コロナウイルス版

2020年04月13日

 休業要請がでるとか,でないとか言われている。利用者に感染した場合,事業所はできない。職員が感染したときも同じだ。

 その場合,業務を休んだ事による休業補償を請求することはできるか。これは事業者にとって死活問題だ。だって介護報酬で運営しているのに,それがなくなれば事業廃止だからだ。

 行政は渋っている。補償なんて余裕はないようだ。そうであれば,法令の基準や厚労省が次々と出している事務連絡を最大限に活用することだ。最低限の人数で,利用者の介護を続けるしかない。そうやって,コロナの感染が収まるまで生き延びることだ。事業者としては,できる限りのことをするほかない。もし,それが原因で行政処分を受けたり,介護報酬の返還などといわれたときは,行政と争うほかない。

 令和2年4月8日,特措法に基づき緊急事態宣言が出た。介護事業者も大変な影響を受ける。高齢者にとって肺炎はもともと天敵なのに,新型コロナウイルスは賢い。なぜかといえば,ウイルスは単独で生存できないから宿主が必要だ。宿主が死ぬとウイルスも死ぬ。そこで,宿主を活かして自分も生きるという術を身につけた。症状もしばらく出ないようにしたらウイルスはその間に拡大拡散できる。

 介護施設は,3密が整っているから,クラスターとなるおそれがとても強い。すでにそうなっている事業所もある。当分は,ワクチンもないから感染しないようにするしかない。

 こんな時にも事業者は法令に従って,しぶとく生き残る努力をすべきだ。

 第一に,可能な限り,テレワークを活用したい。ケアマネは,提起に担当者会議を開催する義務があり,これに違反すると処分されたが,新型コロナの拡大を受けて,厚労省はその開催を求めていない。法令で言えば,居宅介護支援の運営基準13条9号ただし書の「やむをえない理由」にあたる。相当な方法でよいのだ。ただし理由を伏して記録を付けておかないと,行政から指導を受ける。

 第二に,厚労省の事務連絡を活用しよう。通所介護の場合,あぶなくて通所させられない。その場合,通所に代えて,職員が居宅を訪問し,介護を行うことが可能だ。本来は,こんなことをすると,法令違反だなんだと文句をつけられた挙げ句,行政処分をうけたが,新型コロナのために,便利になった。介護報酬も請求できる。

 在宅の高齢者の安否確認も,報酬請求の対象となるようだ。回数に制限はあるが,安否確認のために必要だということだろう。これは,平時でも必要だと思うが。