違法調査から事業者を守る実践技術
     実地指導・行政対応の実績            

1994年 業務開始

    団野弁護士の『行政対応実績』は下の実績一覧を参照ください

当事務所では、企業法務の中核として、介護保険法の適用のある居宅介護サービス事業、地域密着型サービス事業、居宅介護支援事業など中心にし、実地指導対策、行政対応を行います。

障害者総合支援法や、児童福祉法の対象許認可事業も、介護保険法と、おおむね同様な法体系です。連座制が適用されると、すべての同種事業が不能となるおそれもあります。                          当事務所は社会福祉法人、民間法人などの顧問先を通じて、全国各地で行政対応をいたします。



★違法調査から事業者を守る実践技術2023

【違法な実地指導から事業者を守る実践技術】

ア ・・行政の発言が,法令のことか,法令ではない解釈通知や指導指針とことかを,聞き分けること。それがわからないときはその場で質問してみる。

イ ・・指導だったら,指導であることを事業所に納得させ任意に協力を促す。

ウ ・・法令違反の疑いがあれば,ただちに,改善することを進める。

エ ・・実地指導終了後の口頭説明を聞け。重い処分の有無は区別することが可能。

オ ・・もし監査に移行したら,オーナーに覚悟を決めなさいと諭す。

  実地指導は,新規の指定をうけたあとその他定期的に行われているが,とくに時期は決まっているわけではない。本来の実地指導は事前に通知があり,行政職員が来所して,記録などをみながら質問するという形式である。2,3時間で終える。終了すると当日のうちに口頭で簡単な指導がなされ,後日,勧告事項を記載した書面が届くのが通常である。

 まれに,実地指導から監査に移行することもあるので,そのときは要注意。

 以下は,当たり前のこと。

1 実地指導には,実務上,親切な現場指導と危険な実地指導(仮面監査)とがある。

2 介護保険法23条の意義。監査との異同をおさえる。実務でも,指導と監査は区別さ れている。

3 営利法人の運営する介護サービス事業所に対する指導監査の実施について(平成20年3課長連名通知)

4 行政による情報収集活動は行手法の除外(行手法3条14号)→個々の行為について不服申立て不可 ※公権力による行政調査は人権と衝突する。

5 質問をおこなう際の身分証明の携帯と提示義務(24条3項)。23条は指導であるため身分証明書不要。24条の調査権限すべてについて犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。懇切丁寧さが求められる。収集した証拠には刑訴法上の証拠能力なし。

6 任意性を担保する措置の必要性は実務では意識されていない

7 23条の主体は市町村→市町村は介護保険の保険者(法3条)

8 保険給付を受ける者(被保険者)

9 居宅サービス等,地域密着型サービス,居宅介護支援,施設サービス,介護予防サービス,地域密着型介護予防サービス,介護予防支援を担当する者

10 事業者→「保険給付に関して必要があるとき」,文書その他の物件の提出若しくは提示を「求め」「依頼し」,当該職員に「質問」若しくは「照会」ほさせることができる

11 文言・・・「求め」(23条)と「命じ」(法76条等)とはちがうはず。

12 23条は建物等の立入りは規定してない。76条1項と対比。

13 23条は事業者の任意の協力必要。「求め」られたとき拒絶しても,罰則及び不利益措置はない→法209条2号,法77条1項7,8号と対比。

※24条違反は208,213条に注意。被保険者の不利益措置あり。法65条

14 市町村によって実地指導マニュアルが策定されているはず

15 市町村は,施設建物への立入りは当然にできると考えている。実地指導の前に事前に通知する。

16 質問・・・※根拠法令の条項を逆質問する。行政職員は,アンチョコしか読んでいない。介護保険六法に精通している者はいない。法令とそれ以外のルールの違いをしらない。

17 23条の実地指導から76条の監査への移行は裁量で可能。現場で行政職員が「これからは監査に移行する」と発言することもある。

18弁護士の立ち合い→拒否する法令上の根拠はないはず


【違法な監査から事業者を守る実践技術】

ア・・監査=重い処分を覚悟すること。監査=勝負のわかれめと自覚する。

イ・・行政職員は,身分証明書で氏名を聞く。メモする。監査のやり方に,違法がないか監視する。監査権限は「犯罪捜査と解釈してはならない」んですよねと,あえて聞け。

ウ・・帳簿書類の提出は要注意。応じるか会社の同意をとれ。留め置くときは一覧表もらえ。返還期限を聞け。

エ・・質問はわからないときは答えるな。わからないといえ。まちがえたときの虚偽答弁のほうが余計こわい。あとで書類で確認して正確に答弁したいといえ。確認調書に署名押印はしない。

オ・・あとから,監査妨害があったとかいわれないように,監査内容はすべて記録する。

  監査とは,実務では,行政庁が事業者に法令違反を疑う場合に行うおこなう行政調査のこと。タレコミや苦情申し入れなどのほか,実地指導中に法令違反が発覚したときなどに行われる。行政処分の準備段階に位置付けられるが,処分の有無及び程度はケースバイケースである。

カ・・監査開始から10日以内に聴聞決定予定日の通知がなされたか検証すること。

 以下,実務上の要点のみ記載します。

1 介護保険法76条1項,2項は法24条3項(質問・検査),4項準用。介護保険法は78条の7第1項,115条の33第1項その他同タイプの規定多数。行政調査には,憲法31条のしばりがあることに注意。

2 監査について厚労省の見解は,介護保険施設等の指導監査について(平成18年老初1023001)などがある。

3 業務管理体制 介護サービス事業者業務管理体制確認検査指針(平成21年老発0330077)

4 監査は任意調査か,強制調査か。間接強制調査も任意調査であることに注意。

5 調査に応じない場合の不利益措置(77条1項7号,8号)。罰則(法209条,211条)。     

 ※報告と帳簿著類の提出・提示を区別する基準はなにか。虚偽帳簿の提出は,刑罰対象とされてるが,不利益措置の事由ではない(法77条1項7号,209条2号対比)

6 調査の主体,必要性要件,対象者,調査手法の特定。

7 突然,行政職員らが予告なく,建物施設内に立ち入りして監査を開始したときは。

8 報告 報告の命令は報告事項を記載した文書でもらうこと

9 帳簿書類の提示・提出 行政職員が帳簿書類を勝手に手に取ることはできるか

 提示・提出の必要性の説明要求。現場での提示では足りない理由。留め置く場合の措置(預かり証の交付,預かり期間の特定)。会社の同意の要否。

10 パソコンのデータの調査手法は。提示とは画面に検出することか。

11 行政職員から質問されたときはどうするか。


【聴聞手続】

 聴聞は最後の砦。行政処分は公定力があるから,裁判でくつがえすことは容易ではない。

1 聴聞通知がきたとき,どこに目標を設定するか。処分撤回要求かソフトな和解か。

2 予定される不利益処分はなにか。その処分を選択した理由は書いてあるか。

3 法人は同種のタイプの事業所を運営しているか。5年以内に指定更新時期が到来するか

4 連座制は…業務管理体制の整備に関する特別監査はおこなわれていたか。

5 不利益処分の根拠となる法令の条項はなにか。

6 処分の原因となる事実はなにか。

7 主宰者はだれか。

8 期日の変更申立と内部調査。

9 資料の閲覧と謄写

10 質問事項の検討

11 期日の在り方。中間意見書と続行の必要。

12 最終の意見書。訴状に記載すべき事項は最終意見書に記載する。

13 行政庁が強引な場合,差し止めの訴えの提起。仮の差止めは。

14 差し止め訴訟に記載すべき処分が法令に反することとは。

15 聴聞期日調書,主宰者の報告書,

【審査請求】

1 聴聞後の処分に対する審査請求はできるか。

2 公定力を排除するために,審査請求でなにをすべきか。

3 口頭の意見陳述はするのか。

【処分取消訴訟】

1 法人役員も原告とすべきか。

2 勝訴の見込み。

3 執行停止

4 本案の主張立証の材料はあるか。

5 裁判官に,わかりやすい取消事由をあげることができるか。

                                     以上

★受付け地域 

全国どこからでもご相談、行政対応可能です。北海道から鹿児島まで高齢者・児童福祉事業所等の顧問弁護士をしています。全国の行政と交渉、聴聞立会、行政訴訟対応いたします。


行政対応実績(2007年~2021年)

「電話での行政対応相談(30分無料)」はこれまでに北海道から鹿児島まで各県の介護事業所から相談あり。

2007~2012 居宅通所事業所 聴聞・指定取消処分・執行停止・本案訴訟(和解) 佐賀市

2008~2013 通所 聴聞・指定取消処分・執行停止・処分取消(判決) 愛媛県

2009~2011 指定取消し処分相当・国賠(敗訴)・返還命令取消訴訟(一部勝訴) 佐賀県

2010  NPO法人 介護支援 破産申立て 返還請求権の財団債権 佐賀県

2014~2020 認知症GH 聴聞・指定取消・執行停止・取消訴訟 佐賀県

2015~2020 通所介護複数(株)聴聞・指定取消・連座制適用 処分取消訴訟 千葉

2016~2020 認知症GH 聴聞・指定取消・執行停止・取消訴訟 長崎県

2018  通所・介護支援・有料 指定取消 高額返還と差し押さえ 大阪府

2019  障害福祉サービス 指定取消処分 香川県

2019  地域密着通所(お泊りデイ) 聴聞・処分撤回 差し止め訴訟(取下げ) 川崎市

2019  放課後デイ(合) 監査・事業廃止・指定の効力一部停止 香川県

2019  障害福祉(社福) 監査と過誤返戻 請求放棄 長崎県

2019  小規模多機能・介護支援ほか 国賠・不当利得返還請求 長崎県

2020  訪問介護・有料 返還請求(民事訴訟・敗訴) 青森市

2020  小規模多機能・有料老人ホーム 処分の効力一部停止 聴聞 熊本県

2020  認知症GH(社福) 指定取消 聴聞(処分軽減) 熊本県

2021  居宅通所(社福) 過誤返戻 保険者請求の撤回 熊本県

2021  特養その他(社福) 指定取消後の指導対応 鹿児島県

2021  放課後デイ 監査中の事業廃止 聴聞対応(処分なし) 長崎県

2021  障害福祉サービス(生活援助)ほか 監査 事業廃止と営業の譲渡 愛知県

2021  地域密着通所(有限) 指定取消 控訴審から 群馬県

2021  放課後デイ(合) 監査対応 群馬県

2021  放課後デイ(合) 監査対応 富山県

2021  福祉用具(株)  監査対応 東京都

2021  福祉用具(株)  監査対応 神奈川県

2021  通所・有料(株) 指定取消後の実地指導対応 大分市

2022  地域密着通所ほか(合) 聴聞対応 訴訟 札幌市

2022  訪問介護 監査対応 指定取消処分の対応策 福岡市

2022  障害者施設 聴聞対応 茨城県

2022  障害者施設 聴聞対応 群馬県

2022  放課後デイ(株) 聴聞対応 広島県

2022  障害者施設 訴訟 熊本県


★行政の調査・監査は、断ることができるのか、できないのか?

介護事業所の実地指導対策

まず、実地指導または、監査の段階での行政対応が重要です。弁護士が立会うと、行政スタッフは真摯に対応してくれます。 

介護サービス事業では,法令遵守は事業者の基本的な義務。とはいえ,複雑な法令を遵守するのは容易なことではありません。                          

当事務所では,介護支援事業など中心に,放課後等デイサービス,障害者福祉施設の「調査立会」「監査立会」「聴聞立会」「行政裁判」などの「行政対応」を行います。                                      

1 企業法務の実績(裁判例)

 ア 効力停止

 佐賀市内にある某介護サービス事業所は,2008年10月ころ,行政から,2009年3月末で,指定を取り消す処分を受けましたが,当事務所が関与して,2001年1月に行政処分の効力停止決定を得て(行政事件訴訟法第4版に掲載),事業を継続しながら訴訟を提起し,2012年に撤回させることができました(行政と勝訴的和解成立)。

 指定取消処分に係る効力停止決定は,佐賀地方裁判所(計3回),長崎地方裁判所(1回)において,発令していただきました。

 イ 職権による取消

 佐世保市内にある認知症対応型グループホームは,行政から「指定取消処分と,介護報酬の返還命令」を受けましたが,当事務所が関与してそれを争い,2018年2月,指定取消処分及び返還命令が職権で取れ消されました。

2 企業法務の実績(監査,聴聞手続)

 行政が,実地指導,あるいは,監査と称して,事業所内に立ち入り調査をおこなうことがあります。これは,行政がおこなう情報収集活動ですが,特に,監査は,違法があるとの見込みから行政処分の資料を収集する行政調査ですから,強力です。仮に,虚偽の報告をおこなっさたり,監査の妨害ととれるような挙動をしますと,そけだけで,指定取消処分などの原因となってしまいます。

 また,聴聞手続きは,指定取消処分など重大な不利益処分をおこなう際に,必ずとらないというけない手続ですが,事業者は,その意味をしりません。どのような聴聞手続きに対応してよいかするわからないのです。監査や聴聞の後にどのような手続きなるか詳細に説明できる弁護士はあまりいません。(聴聞を1度で終わらせる、質問しない、介護保険を返還しましょう、という弁護士はお勧めできません)

 当事務所では,2008年から,約12年間にわたり,監査や聴聞手続に対応してきた実績があります。対象地域は,佐世保市(処分行政庁佐世保市長,長崎県),佐賀中部広域連(佐賀県),杵藤地区広域市町村圏組合(処分行政庁同管理者,佐賀県),千葉県,青森県に及びます。

3 介護サービス事業等における企業法務の重要性

 近時,高齢化に伴い,介護サービス事業を取り巻く環境整備が進んでいます。厚生労働省は,人員,設備,運営に関する基準省令を策定し,平成24年からは,条例にゆだねましたが,基準省令がその基本形とされています。また連座制の規定を整備するなど,事業者に対する取り締まりをますます強化しています。

 障害者総合支援法における許認可事業,児童福祉法にける許認可事業も,同様に厚生労働所の管理が強化されています。

 企業法務の重要は増していますが,一方では,これら特殊分野に対応できる弁護士が少ないのが現状です。