指導監査救済新聞4月号             オーナーが弁護士を選ぶポイント 

2021年04月12日

当事務所は、すでに顧問弁護士がいらっしゃる介護事業所さんからも多くの相談があります。介護事業所の労務管理、事故のトラブル等は詳しくても、「行政対応や取消処分などについては対応できません」と言われる弁護士がいるからです。

そこで、今月はオーナーさんが困ったときに弁護士を選ぶポイントを紹介しますので、参考にされてください。


1,介護・障害・児童福祉事業いずれかの事業所の現場を見たことがあるか。

→弁護士の多くは介護事業所、障害福祉サービス事業所、 児童福祉事業所を一度もみたことがない方がいます。それでは日々の事業のイメージもわかず、 熱心な対応は期待できません。

2,指導・監査、 聴聞、 行政処分、 行政手続法、 行政事件訴訟法の意味がわかっているか。

→弁護士の主たる業務は、 法人•個人間の民事的トラブルです。行政との諸問題を積極的に扱う弁護士はいるにはいるが、 その数は少ない。行政訴訟を担当した経験がない弁護士の場合、 事案の解決について見通しを立てることが困難。

3,実地指導と監査のちがいがどこにあるかわかっているか。

→介護事業等の行政相談は、 ほぼ実地指導、 監査などで、 具体的な問題がおこったときにやってくる。その時,実地指導と監査の違いすらわかっていないと、 タイムリーに適切なアドバイスをすることができない。

4,介護保険法と厚生労働省令などの相互関係を知っているか。

→介護・障害・児童福祉事業は、 法令の体系が複雑。ほとんどの弁護士は法令をみたことがないので、 介護保険法と厚生労働省令の関係を尋ねてみる。

5,聴聞手続で、 行政庁との争い方はどの法律をみたらよいか知っているか。

→聴聞手続が開始されたということは、 重大な不利益処分がされる確立が高い。聴聞手続は、 行政手続法という法律に規定がある。行政手続法という言葉すらでてこない弁護士に、 聴聞の適切な対応を期待することは困難です。

6,指定取消処分と、 報酬返還命令(処分)との違いを知っているか。

→ほとんどの事件では、 指定に関する取消処分や指定の効力の一部停止などにともない、 報酬返還という処分又は過誤調整が問題となる。それらの処分の関係を知らない弁護士に、 全部の解決を依頼することはリスクがある。

7,行政対応の方法として、 少なくとも3つ以上のプランを示せることができるか。

→行政との争い方は単純ではない。ほとんどの事業者は行政と争うとしても、 将来的に行政との良好な関係を維持する必要がある。戦うだけが選択肢ではない。例えば、「 処分に従う」、「徹底して争う」、「その折衷タイプ」など3つ以上のプランを示せるはず。

8,指定取消処分が避けられない場合、 事業者として適切な逃げかたを知っているか。

→なかには指定取消処分が決定的で、 かつ、 返還額も数千万円となるケースもある。そのような厳しいケースでは、 損害を最小限に留めるか、 あるいは、 積極的に事業廃止を選択するなど、適切な方法を示す必要がある。それは経験がある弁護士でないと困難。

9,予想される行政処分が有効か無効かについて、 およその見通しをたてられるか。

→これからどのような処分となるか見通しを立てられなければ、処分が有効な場合、無効な場合などの対策を検討できない。(処分が無効な場合もある)

10,連座制の意味とそのリスクを回避する方法を知っているか。

→多数の同種事業所を運営する法人がもっともおそれるのは、 連座制。介護弁護士にはその対応能力(対策)が必要。