2月号 運営基準と減算基準の体系

1 ポイント
運営基準と減算基準はちがいます。それなのに行動されがちです。法令上運営基準違反は単に勧告となるだけですが、減算は報酬を返すことになります。えらい違いです。これはポイントです。
2 行政職員や裁判所の盲点
裁判でも問題になっていること。それは、1日でも人員基準を満たさない日があると減算の対象となるのか、あるいは、月単位で平均値で算定すればいいのかです。
ある裁判で、行政が、人員基準に満たない日がある月は減算を要すると主張していました。これは、1日でも人員基準に満たない日があると、当月は減算しないといけないというものです。
また他の裁判所(地裁)では、介護従事者がいない日を1日でも許容することばできないと判示したことがあります。これも、介護従事者の欠員が1日であれば介護報酬の減算をせよとするものですから、人員基準欠如は日単位でおこない、当月の介護報酬請求を減算せよとするというものです。
3 争い方
減算基準に算定は、日単位か月単位かという問題ですが、サービス事業者の観点から言い換えると、「これからどうするか」と「振り返ってどうだったか」の問題なのです。
運営基準と減算基準の視点の違いをはっきりさせるべきだと思います。
介護報酬の減算について復習してみましょう。
介護報酬は、「月あたり」という法的根拠は、省令20号と告示27号にあります。告示27号は、介護職員等について人員欠如があるときに、所定単数数を100分の70で算定しなさいという算定基準を定めれています。文中の表の上段が減算基準、下段がその効果として減算割合の関する規定があります。
省令20号は、介護保険法の委任によって、介護サービス費の請求に関する事項を定めたものです。省令20号の3条1項に、月あたりで請求するという定めがあります。
この省令20号3条1項と、告示27号の文中の表をあわせて読むと、減算基準は、月単位で算定するという趣旨を読み取ることができます。
人員基準減算について厚生労働省はどのように言っているか。厚生労働省は、告示27号の解釈・適用について、「留意事項通知」を発出しています。これは、厚生労働省の課長通知ですが、全国の自治体の下級行政機関に対して、介護報酬の法令の解釈・運用のあり方を示し、統一的な運用を図るためのものです。
「留意事項通知」は、それに関する事項について、下級行政機関の職員らは留意しなければなりません。人員基準減算は、全国の自治体でばらばらな解釈・運用がなされることは許容されません。
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