介護裁判新聞3月号
事例分析(ネットから)
事例ケースに学ぶこと
事例1では、人員基準欠如が処分理由である。介護保険法で義務づけられたマネージャーが配置されていなかったこと(管理者のこと),看護職員の勤務実体がないことが指摘されてた。
小規模多機能型であるから,基本的な人員配置のミスである。ただし,処分が軽い。新規利用の停止と,介護報酬の3割カットにとどまる。従来であれば介護保険法78条の10により指定取消処分も検討されるはずだ。 しかしながら,この件では,処分を軽くして事業を継続させようとする方向に指針が変更されている。公表されていないが,過去の介護報酬の返還について過誤調整というかたちで求めたものと思われる。
事例2では,人格尊重義務違反が処分理由とされている。 施設内虐待のひとつであるが,最近多いバターンである。
介護保険法は,高齢者虐待防止法違反を処分の理由として掲げているが,多くの自治体では,その一歩手前の処分,人格尊重義務違反に留める。人格尊重というのは,便利な表現であるが,濫用傾向にある。というのも、なんでもかんでも人格尊重義務違反といえるからだ。改善指導というのは行政処分ではないから,事例とするのも不適当かもしれないが,今後,このような指導形態が増加するものと思われる。
事例ケース1
佐世保市 小規模多機能型居宅介護事業所N
指定の一部の効力の停止(平成24年9月1日)
停止する効力 新規利用者の受け入れ停止及び介護報酬請求上限7割(6ヶ月間)
処分の理由
(1)不正請求
介護保険法で義務づけられたケアマネジャーを配置していなかったにもかかわらず、介護給付費を減額せずに不正に請求し受領した。勤務実態のない看護職員の分も加算し不正に請求し受領した。
事例ケース2
宮崎市 有料老人ホームF
改善指導(令和元年8月30日)
処分の理由
(1)人格尊重義務違反
施設内で男性職員が、80代後半の女性入所者を車いすから降ろして床に横たわらせてまたがり、「今この状態をつくったのはあなただよ」「あなたが危ないことをしたからこうしたんだよ」などと言い、身体的及び心理的虐待をした。ほかにも10人以上の入所者に対し不適切な言動があった。