指導監査救済センター新聞

団野法律事務所

ある行政が,事業者に介護保険の不正利得があるといって,その指定を取り消し,不正利得額1800万円を徴収するとして処分しました。1800万円満額市が徴収しました。ところが,その介護施設の利用者のなかに65歳未満の生活保護の方がいて,健保等未加入だったため,900万円が保護費から支給されていました。65歳未満の生活保護の方については,介護扶助費の返還について,市長ではなく,福祉事務所長が徴収するのですが,それを失念していました。

第二に、介護保険法の適用施設の場合、介護保険法の基づく監査をおこないます。地域密着型の施設の場合、介護保険法78条の7第1項の規定により、市長村長は、報告を命じたり、帳簿書類等の提出を命じたり、従業者に出頭を求めて質問に答えたりするように命じることができます。施設内に立ち入り、物件の検査をすることもできます。このような命令を拒否したり、虚偽の報告・回答をしたりしたときは、罰則の適用もありえますし、指定を取り消すこともできます。

ただ事業者の方は疑心暗鬼だ。行政に信用がないのである。これまで行政にいじめられてきた経験があるから。事業者は,行政機関の指示のとおりにすると,あとで,違うことを言われるという不安が強いのである。情けない実情だ。

事例1では、人員基準欠如が処分理由である。介護保険法で義務づけられたマネージャーが配置されていなかったこと(管理者のこと),看護職員の勤務実体がないことが指摘されてた。

2000(平成12)年介護保険法が施行されて20年たちます。この間,行政処分のあり方も変わりました。

介護裁判新聞1月号

2020年01月08日

①佐賀県大町町グループホーム 平成25年10月提訴。佐賀地裁,福岡高裁,最高裁。上告棄却。また関連事件が,平成30年提訴・取下げ。

過誤返戻は,そのようなバイパス道路を通らないで,私債権として支払いを求め,事業者に過去の請求を取り下げさせて,その分を支払わせる。法22条3項の徴収権を行使した結果,事業者が係る徴収権の行使にしたがい,その分を支払うのであればわかる。でも,そうするには行政も手間がかかる。算定要件に関する法令違反があるか調査も確実におこない,徴収権の行使に関して不服申し立ての便宜を与えないと行けない。法22条3項の規定による徴収権の行使は,不利益処分と解されるから,行政も手間ヒマかかる。

私は介護行政に関する訴訟を代理人弁護士として経験してまいりました。そこで,先日これまでに体験したことや,疑問に思うことを小冊子にしました。

聴聞手続は,行政庁が,指定を取り消す処分をおこなう際に,事前におこなう義務のある手続です。この手続をしないで処分することはできません。